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岐阜家庭裁判所 昭和42年(家)422号 審判 1969年1月27日

申立人 寺沢優子(仮名)

主文

本件申立を却下する。

理由

申立人は、本籍岐阜県岐阜市○○○△△△番地の○○筆頭者寺沢雄二の戸籍中長女ヨシエ、二女とし子、三女国子の死亡日時「昭和四二年四月一八日推定午後一一時」とあるを長女ヨシエは「昭和四二年四月一八日午後九時より同月一九日午前二時」と、二女とし子は「昭和四二年四月一九日午前二時」と、三女国子は「昭和四二年四月一八日午後八時より同月一九日午前一時」と各訂正することを許可する旨の審判を求め、申立の実情として申立人ら一家五人は昭和四二年四月一八日ガス自殺を図つたところ申立人の夫寺沢雄二は同日午後六時より午後一一時までに死亡したが申立人は死亡しなかつた。長女ヨシエは現場で歩行した足跡もあつて父雄二と同時刻には死亡しておらず解剖の結果によると同日午後九時より同月一九日午前二時頃までの間に死亡したものとみられ、二女とし子も長女と同じ時刻に死亡したこと、また三女国子も一八日午後八時から一九日午前一時頃までの間に死亡したことが判つた旨主張した。

よつて按ずるに、調査の結果によると本件申立は申立人の実父の大竹省治において申立人が未だ意識不明のまま病院に入院中、雄二の兄弟との間に雄二の遺産相続について紛争を生じ相続の放棄をすることを求めたが容れられなかつたところ、岐阜中警察署より解剖鑑定書謄本の交付を得て雄二と長女、二女、三女の死亡時刻について異つた鑑定意見の記載があつたことから主として雄二の遺産相続権の存否について確定を求めるため申立人に代つて本件申立に及んだものであるが、申立人もその後意識を完全に回復して本件申立を追認しているものである。

そうとすれば、本件戸籍訂正許可申立は、亡雄二の相続関係に重大な影響を及ぼすべき事項について訂正を求めるものであつて、戸籍訂正としては許されないものであつて結局本件申立は不適法として却下すべきものと考える。

そこで、主文のとおり審判する。

(家事審判官 丸山武夫)

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